インピンジメント症候群は、肩の痛みや可動域の制限を引き起こす疾患であり、スポーツ障害の一つとしても知られています。特に、腕を肩より上にあげたときや、背中に手を回したときに痛みや引っかかり感がある場合、この症状が疑われます。この状態は、肩関節内で筋肉や腱が骨に挟まれて擦れることで炎症が起こることによって生じます。野球やテニス、バレーボールなど、肩を頻繁に使う競技を行う人に多く見られますが、日常生活の動作でも発症する可能性があるため、決してアスリートだけのものではありません。
インピンジメント症候群とは?
インピンジメント症候群は、肩関節の中で骨と骨の隙間(肩峰下空間)が狭くなり、その間にある腱板や滑液包といった組織が圧迫されたり擦れたりすることで、炎症や痛みが生じる疾患です。特に、腕を肩の高さから上にあげたときに症状が出やすく、「引っかかるような感覚」や「夜間の痛み」などが典型的な症状です。イメージとしては、ドアの蝶番に指を挟んだ状態で無理にドアを動かすようなもので、肩内部で組織が無理にこすれ合っているため、痛みや違和感が発生するのです。
インピンジメント症候群の原因とは?
1. 肩の使いすぎ(オーバーユース)
もっとも多い原因の一つが、肩を繰り返し使う動作の蓄積です。たとえば、野球のピッチング、テニスのサーブ、バレーボールのスパイクなどでは、肩関節に大きな負担がかかります。また、スポーツだけでなく、仕事や家事でも高い場所に手を伸ばす作業や、重い物を肩より上に持ち上げる動作を日常的に繰り返していると、同様のリスクが生じます。
2. 加齢による変化
加齢に伴い、肩の筋肉や腱が弱くなり、摩耗や炎症を起こしやすくなります。特に腱板と呼ばれる肩を安定させる筋肉群が劣化すると、肩峰下空間が狭まり、腱が骨にこすれやすくなります。また、関節内に骨棘と呼ばれるトゲ状の骨ができると、より圧迫を強めてしまいます。40代以降で発症率が上がるのも、このような加齢変化が関係しています。
3. 姿勢の悪化
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用で、無意識のうちに猫背や巻き肩の姿勢が定着すると、肩甲骨の動きが悪くなり、肩関節の可動性が低下します。これにより、肩の動きが不自然になり、負担が一点に集中するためインピンジメントを引き起こしやすくなります。
主な症状について
腕を上げたときの痛み
もっとも代表的な症状です。特に腕を肩の高さ(60〜120度の範囲)まで上げたときに痛みが出ることが多く、肩より上に手をあげる動作で「ズキン」とした痛みを感じるのが特徴です。
夜間や安静時の痛み
炎症が強くなると、寝ているときでも痛みが出て、寝返りを打った瞬間に目が覚めるようなこともあります。肩を下にして眠れないという人も多く見られます。
肩の引っかかり感・ゴリゴリ音(軋轢音)
動かしたときに「ゴリゴリ」「パキパキ」といった音が鳴る場合、腱や筋肉がスムーズに動いていない可能性があります。
可動域の制限
痛みを避けるために肩を動かさなくなると、さらに筋肉や関節が硬くなり、「背中に手が回らない」「真上に腕が上がらない」といった状態に進行してしまいます。
整骨院でできる施術
整骨院では、インピンジメント症候群に対して、以下のような多角的なアプローチを行います。
1. 炎症の抑制と痛みの軽減
まずは患部の炎症を抑えることが重要です。電気治療やアイシングによって炎症反応を和らげ、必要に応じて手技療法で周囲の筋肉の緊張を緩めていきます。
2. 可動域の回復
固まってしまった肩関節には、関節モビリゼーションやストレッチを行い、少しずつ可動域を回復させていきます。強引な動かし方は逆効果なので、状態に応じて慎重に施術を進めます。
3. 姿勢・動作の見直し
猫背や巻き肩などの姿勢不良が原因の場合、姿勢矯正や肩甲骨周囲筋の強化指導が必要になります。また、日常動作の癖やスポーツフォームも見直すことで、再発予防にもつながります。
インピンジメント症候群でお悩みの方は当院にご相談ください
インピンジメント症候群は、放置すると五十肩や腱板断裂といったさらに重篤な肩の障害へとつながる恐れがあります。日常の動作や睡眠にまで影響が出る前に、専門家のサポートを受けることが大切です。当院では、インピンジメント症候群に対して一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた施術プランをご提案し、根本的な改善を目指しています。「肩を動かすと痛い」「夜中に痛みで起きてしまう」といったお悩みがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。